葉酸と妊娠

 望んで妊娠をした全ての親は、健康な赤ちゃんが生まれてくる事を願って病みません。妊娠した事が発覚すると、10ヵ月後に健康な赤ちゃんを産むためにタバコやお酒をやめたり、しっかり食べたりと様々な努力をします。夫や周囲の人も「大事な身体だから」といたわるようになります。しかしこのような思いもむなしく現実にはなんらかの障害を持って生まれてくる赤ちゃんもいます。
 赤ちゃんが障害を持って生まれてきた理由は決して一つの理由ではないでしょうが、大きな理由の一つに葉酸不足が挙げられます。妊娠初期には胎児の細胞分裂が非常に活発であり、細胞は分裂するときに必ずDNAを作ります。もしこの時期に葉酸が不足することによって、DNAを構成する核酸の合成が上手く行われなければ、成長の妨げとなります。したがって、妊娠初期から妊娠三ヶ月の時期に葉酸が十分に摂取されなければ、神経管閉鎖障害を発症するリスクが高まってしまうのです。
 もちろん、妊娠初期から妊娠三ヶ月目の女性に限って葉酸が必要という事ではありません。なぜならば女性が妊娠している事に気付くのは、妊娠してから2~3ヶ月が経過した頃であることが多いからです。上記の通り葉酸の十分な摂取が必要となる時期に妊娠に気付かないことも十分ありえることなのです。
 したがって、妊娠する予定がある女性であるならば、実際に妊娠している可能性が少しでも考えられる妊娠発覚前から、十分に葉酸を摂取しておいたほうがいいのです。

 具体的な摂取量は1日あたり400μgとされています。この量を妊娠直後から三ヶ月目に当たる期間にきちんと摂取しておくことによって、神経管閉鎖障害児の出生リスクは70%も軽減するとされています。
 この1日あたり400μgという葉酸摂取量は、一般の成人が必要とする量の約2倍の摂取量になります。厚生労働省も妊婦におけるこの葉酸摂取量を認めており、2001年11月からは母子健康手帳にこの摂取量が記載されるようになりました。
 また、授乳中にも1日当たり280μgの摂取が必要であり、これも一般的な必要摂取量よりも多い量といえます。

 ちなみにサプリメント先進国であるアメリカでは、日本よりずっと早い時期から妊婦における葉酸の必要性を提唱してきました。1992年には既に、妊娠の可能性がある女性は1日あたり400μgの葉酸を摂取することが推奨されてきたのです。葉酸入りのシリアルやパスタがスーパーマーケットなどで売られているほどに、この認識は一般的なものになっています。
 これに比べて日本では、妊婦における葉酸の必要性に関する認識はまだまだ浸透していないといえます。

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