葉酸不足が人体に与える影響

 葉酸不足が胎児に与える影響は大きく、そのことから妊娠中における葉酸摂取の重要性はよく知られています。そして、授乳中にも葉酸の摂取が必要とされますが、これは葉酸不足が乳児にもなんらかの影響を与えるという事が推測できます。ここでは葉酸不足が人体に与える影響を考えましょう。
 妊娠初期から妊娠三ヶ月目の時期には胎児の細胞分裂がもっとも盛んに行われる時期です。そのためこの時期に葉酸が不足したときには神経管閉鎖障害の発症リスクが高くなり二分脊椎症によって歩行困難や排泄障害が生じます。また無脳症を引き起こすこともあり、このときには流産や死産にいたります。
 また、授乳期に葉酸が不足することは、乳児の発育に遅れを及ぼします。これは葉酸の働きを見るとよく分かります。胎児においても乳児においても、発育して身体が大きくなるときには、体内では細胞分裂が起こっています。細胞分裂の際にはDNAが複製されますが、そのときにはDNAを構成する核酸が合成される必要があり、その働きを担うのが葉酸なのです。
 したがって、「葉酸不足→核酸の合成不可→DNAの複製不可→細胞分裂の不可→発育障害」という流れで発育の遅れや疾患が現れるのです。
 かといって、葉酸の過剰摂取は推奨されていませんが、過剰摂取によって疾患は今のところ認められていません。水溶性ビタミンであることから摂取量がオーバーしても尿として体外に排出されます。

 また、葉酸不足は生活習慣病や悪性貧血の原因となります。
 そのほか、細胞の清算を助ける働きがあることから、細胞分裂が盛んな箇所で欠乏症状が現れます。
 このほかには、お酒をたくさん飲む人、アスピリンやピルを飲んでいる人は欠乏しやすいため、十分に摂取することを心がけるといいでしょう。

 ちなみに、葉酸不足によって生じる障害の中で最も大きなものとして挙げられるのは神経管閉鎖障害です。神経管閉鎖障害は妊娠初期の葉酸不足によって、胎児に起こる先天異常の一つです。
 神経管というのは、脳や脊髄といった中枢神経系を作る細胞のことです。妊娠初期の胎児は盛んに細胞分裂を繰り返していく中で、脳や脊髄をはじめとする様々な神経細胞が作り出されます。
 神経管の下部に障害が起きたときには二分脊椎症を生じ、これによって下肢の麻痺や膀胱・直腸に機能障害を起します。これによって歩行困難や排泄障害といった障害が現れることとなります。
 神経管の上部に閉鎖障害が起きたときには無脳症を生じ、脳が作られないという症状が現れます。これによって高確率で流産や死産となってしまいます。
 この時期に葉酸を十分に摂取することによって、これらのリスクが大幅に低減されます。

このページの先頭へ